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就業不能=失業ではありません
働けなくなった時のための保険。
それが就業不能保険と呼ばれているものです。
あなたは働けなくなるといえば、どんな状況を想像しますか?
現在働いている職場で働けなくなること、などをイメージしませんか?
もしそれが保険金給付の条件であればいいのですが、残念ながら簡単には給付されません。
ひとつ私が経験した例を書きたいと思います。
Aさんは5疾病による就業不能特約付きの医療保険に加入していました。
これは就業不能保険の中でも比較的出やすい方です。
ある日Aさんは具合が悪くなって病院へ行きました。
その結果『心不全』と診断されました。
10日間の入院後退院しました。
しかし体調が思わしくなく、勤め先で仕事を続けられなくなりました。
そこで医療保険に加入していたことを思い出しました。
就業不能の特約を付けていたので、給付金が受け取れると思ったのです。
ところが・・・・・
特約の給付金が出ることはありませんでした。
とても残念な話ですよね。
なぜ給付金は受け取れなかったのでしょうか。
それは、5疾病という病気に限定されていた、というのが今回の理由です。
今回Aさんの病名は『心不全』でした。
5疾病に含まれるのは『急性心筋梗塞』です。
よって対象外となってしまったのです。
※急性心筋梗塞の患者が心疾患全体の5%にも満たないことは、医療保険のところでご説明したとおりです。
では他社の就業不能保険であれば給付金は出たのでしょうか?
答えはノーです。
なぜならば、Aさんは同じ仕事を続けることはできませんが、転職して体の負担が少ない仕事には就けたからです。
これは就業不能ではないんですね。
つまり
就業不能=失業
ではありません。
それをわかったうえで検討してください。
原因を考えてみましょう
就業不能になってしまう主な原因って何でしょうか?
独立行政法人 労働政策研究・研修機構によると、40%以上がうつ病などを含むストレス性疾病によるものです。
(これにがん、脳血管疾患を合わせると60%を超えてきます。)
ところが、就業不能保険の給付条件で、精神疾患が原因のものは除く、としている会社が殆どなのです!!
一番就業不能となる原因に対して、給付の対象になっていないわけです。
そんな中でも、ストレス性疾病による就業不能を保障している保険会社があります。
しかし、それでも条件があります。
60日以上の入院や障害等級2級以上が条件なのです。
入院を考えた場合、精神疾患になっても入院せずにいる人は沢山います。
厚生労働省の平成23年度の患者調査では、精神疾患の患者数が約320万人です。
そのうち精神科に入院しているのは約31万人です。
このようなことから精神疾患が対象の保険でも、給付条件のハードルがかなり高いことがわかります。
CMなどを見ていると、軽い症状でも働けなくなれば給付対象、みたいな印象を受けてしまうかもしれません。
この保険に入っていれば安心ということでもないのです。
あなたの周りにいますか?
ひとつ質問させてください。
あなたの周りに失業ではなく病気が原因で、就業不能になっている人はいますか?
おそらくいないか、いても1人、多くて2人というところではないでしょうか。
病院に勤めている方であれば、そのような方と接しているので、目にすることが多いかもしれませんね。
実はこの質問をすると、95%以上の方は「いません」と言われます。
私の経験上の話になりますが。
就業不能の保険というのは聞こえはいいのですが、実際該当する人というのはかなり少ないんです。
保険会社が儲からない商品であれば、積極的に売られません。
すぐには給付されません
給付条件を見ればわかることでもありますが、たとえ該当したとしても、就業不能と判定される条件が入院60日や180日だったり、障害等級1級や2級に認定されることが条件になっています。
ですから、給付金を受け取るまでに時間がかかります。
5疾病など病気が限定されているものは、初回は入院開始で給付されるものもあります。
実際の就業不能保険の給付条件や保険料例は、こちらから確認可能です。
<例1> 精神疾患対象外
<例2> 精神疾患も対象
有休と傷病手当金
あなたや一家の大黒柱の方は会社員ですか?
もしそうであれば就業不能の保険は不要かもしれません。
万が一就業不能になっても、傷病手当金というものが支給されます。
まず、使い切れていない有給休暇が残っていませんか?
3日残っていれば大丈夫です。
4日目からは傷病手当金が支給対象になります。
これは支給開始した日から最長1年6ヶ月の間、支給開始以前12ヶ月の標準報酬月額の平均値の3分の2が支給されるという制度です。
ちなみに支給対象期間内に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も期間内として算入されます。
復帰期間の支給はありません。
民間の就業不能保険と違って、支給条件のハードルは低くなっています。
4日目から受給できること自体がかなり支給されやすい条件ですが、精神疾患は対象外や、入院していることなど、そういった条件がありません。
健康保険給付、自費を問わず診療を受け、仕事に就くことができないことについての証明があるときは支給対象となります。
民間の就業不能保険の条件もこうであればいいのですが。
こういう制度があることは、おそらく説明されると思います。
そのうえで加入するかどうかは、よく考えてください。
自営業の方は?
では自営業者は加入した方がいいのでしょうか?
売り手のトークとしては、自営業者には傷病手当がないので、就業不能になると困ると説明されるかと思います。
しかし給付条件が前述のように傷病手当ほど緩くありません。
就業不能保険に加入したところで、給付される確率はかなり低いです。
保険に入った=安心
とは少し遠いかと思います。
やはりそのことを十分に理解したうえで検討することをおすすめします。
回復後はどうなる?
就業不能状態から回復した場合の給付については保険会社によって違ってきます。
回復といっても、就業可能ということではなく、支払い条件に該当しないことを回復と考えます。
大まかには次の3条件にわかれます。
- 給付条件に該当しなくなれば給付は打ち切られる商品。
- 契約時に決められた年数給付される商品。
この場合回復の有無は関係ありません。
- 保険期間満了まで給付される商品。
この場合回復の有無は関係ありません。
条件としては3が一番いいですね。
仕事に就けなくても給付条件に該当しなければ給付金が出ないというのは困りますね。
収入保障保険の特約等を活用
就業不能保険は単体で売られているものや、医療保険の特約として売られているもの、収入保障保険の特約などで売られているものがあります。
収入保障保険をおさらいしますと、期間の決まった死亡保障で、『毎月いくらをいつまで』という受け取り方で考えるものです。
受取総額は年数が経っていくほど減っていきます。
就業不能保険を選ぶポイントとしては、次の条件を考え最も有効活用できそうなものを選ぶのが良いと思います。
- 保険料が高くないかどうか
- 給付条件(疾病限定かどうかなど)
- 給付期間(何年支払われるかなど)
- 回復後にどうなるのか
- 回復せずに死亡した場合はどうなるのか
これらを考えると、収入保障保険とセットや特約になっているものが、もっとも当てはまるのではないかと思います。
就業不能保険単体や医療保険の特約の場合、回復せずに死亡すればそこで保障が終わります。
そのため死亡保障に別途加入しなくてはなりませんので、結果として保険料も高くなってしまいます。
実際に相談される際には、まずはこの商品が本当に必要かどうかを十分に考えた上で、設計書を出してもらうと良いと思います。
収入保障保険とセットになっているものは限られていますので、遠慮せずに全部出してもらいましょう。
死亡保障と就業不能をセットにすることができる
一部の保険の資料請求はこちらから可能です。
※クリックすると募集代理店(株)アイ・エフ・クリエイトのサイトへ移動します。
収入保障保険プレミアム
(チューリッヒ生命)
リンククロスじぶんと家族のお守り
(損保ジャパン日本興亜ひまわり生命)
家計保障定期保険NEO就業不能保障プラン
(東京海上日動あんしん生命)